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もっているものでうまくやる
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通常のお米と無洗米はどちらのほうが環境負荷が高いのか
無洗米をつかうのはなにしろ楽で、電子レンジのつぎに日本人を家事から解放した。それにくわえて各家庭でお米を研ぐよりも、工場で大量に処理をしたほうがエネルギー効率的に良いと思っていた。ある日、無洗米のパッケージを見ていたら製造方法にタピオカ粉を利用していると書かれていた。果たして本当に無洗米はエネルギー効率が良いのだろうか。
無洗米ではタピオカでんぷんを利用した精製方法が主流
タピオカでんぷんが必要ということはキャッサバを食糧としてではなく、材料として利用することになる。コーンからバイオエタノールをつくるように、主食の利用を圧迫している可能性がある。
キャッサバについて調べたところ、工業用でんぷんとしての利用も多く、製紙、プラスチック、繊維、製薬、化学素材としても使われている。
タピオカでんぷん使用の無洗米における環境影響
タピオカでんぷんの生産過程:
キャッサバ(タピオカの原料)の栽培には土地、水、肥料が必要
浄水処理を行うわけではないので下水処理の負荷は高まらない
収穫から加工までの過程でエネルギーを消費する
輸送コストが発生する
でんぷん抽出の工程で水や化学物質を使用する場合がある
無洗米への加工過程:
タピオカでんぷんを米に均一にコーティングする工程でエネルギーを使用する
付着させるための特殊な装置や技術が必要
メリット:
家庭での水使用量削減
下水処理の負荷軽減
デメリット:
タピオカ原料の生産・輸送による環境負荷(CO2排出など)
でんぷん加工時の水・エネルギー消費
キャッサバを主食とする地域からのグローバリズムでの搾取
最近の研究では、タピオカでんぷんを使わない無洗米加工技術(物理的な表面処理や高圧水流処理など)も進んでいる。
結論
原子力発電のような感じで、現状では課題はあるが長期的に考えると無洗米処理の全体的な負荷は減りそう。なので無洗米の生産方法にも着目することが重要で、タピオカでんぷんをつかわないものがあればそれを積極的に選んだ方がいいかもしれない。
アボカド栽培のように急激な需要な高まりによってグローバル的な農産物のマーケットを歪める可能性はあるが、インディカ米が生産の85%を占めているため同様な問題にはならないと思われる。
また工業用でんぷんとしての需要が高く、それに合わせてグローバルマーケットで流通していることを考えると、極端な負荷がかかるようには思えない。
キャッサバが想像以上に現代社会を支えていることがわかり面白かった。コンテナの話のように、キャッサバひとつで本が書けるかも。
Behind the insight
食品産業に潜む腐敗 S2E1 アボカド戦争 https://www.netflix.com/title/80146284
バイオ燃料用に需要急増、トウモロコシの新規耕作が温室効果ガスの排出を増やしている:研究結果 https://wired.jp/article/biofuels-gasoline-russia/
プラグマティズムとはなにか
プラグマティズムの成り立ち
経験論(経験できないものの真理を考えることはできない)から発展し、アイデアや理論の真理性や価値を、その実際的な結果や有用性によって判断する哲学的立場
1870年代にチャールズ・サンダース・パースによって提唱され、その後ウィリアム・ジェームズ、ジョン・デューイによって発展し、現在のアメリカでも人気のある哲学のひとつになっている
プラグマティズムの考え方
観念が実用的な結果をもたらすならば、それは真理であるとみなす
神を信じることで人生に前向きな変化がもたらされるのであれば、その信念には真理性があるという考え方
信じているから真理性があるということではない
「役に立つ(実用的)」かどうかが真理の判断基準となる
フラットアースは実用的でないので真理性はない
知識は経験に基づくものであり、経験を言語化することで知識が生まれる。逆に、知識が先にあって経験が可能になるのではない。
学校で習うような知識も、それを言語化したひとが経験をもとに明言化したものであるということ
このため、知識は常に新たな経験によって修正・更新されるものと考える
思考の究極的な目的は、より良い経験のための行動にあり、抽象的な理論構築それ自体が目的ではないとする
プラグマティズムとは
「真理とは何か」という哲学的問いに対して、「実際に機能するもの」「有益な結果をもたらすもの」という実践的な答えを提供する立場
真理を固定的なものではなく、経験と実践を通じて検証され続ける動的なプロセスとして捉えている
Behind the insight
プラグマティズム入門 *https://amzn.to/4iRjxiw
私たちが “もっているものでうまくやる” には、少しずつ自分の世界を広げ、自分自身を理解し、思いがけない組み合わせを試してみる必要があります。これらは、そのプロセスの様子です。
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