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もっているものでうまくやる
このニュースレターは、2つの記事が生まれるたびに、不定期でお届けするニュースレターです。予測不可能な時期に、日々の気づきから紡ぎ出された記事が、あなたのもとに届きます。- Do well with what you have.
意外と長くなるので1つの記事にしようかなと思い始めています。
Table of Contents
多元性(プルラリティ)とは何か
オードリー・タンの新著として『PLURALITY 対立を創造に変える、協働テクノロジーと民主主義の未来』の翻訳が進んでいる。それについてのオープンなフォーラムがあり、それに触れながら多様性との違いなどを学んだ。
プルラリティの基本的な定義
多元性(プルラリティ)は、社会、政治、文化において、単一の価値観や視点ではなく、複数の異なる視点、信念、価値観が共存し、相互に尊重され、対話できる状態を指す概念。一見すると多様性との違いがわからない。また新たな言葉遊びではないのか。
多様性との根本的な違い
多様性(ダイバーシティ)は異なる背景、属性、特徴を持つ人々が同じ空間に存在すること。つまり性質を指している。
性質に対する指摘なので、しばしば表面的な違いに焦点が当てられる。違いを強調することで、より対立が生まれてしまう印象がある。
ダイバーシティを保つことは、単に「並存」することに重点を置かれてしまう。
それに対する多元性(プルラリティ)は異なる価値観や世界観が対等に尊重され、対話し、相互理解する姿勢を指す。
表面的な差異についての議論ではなく、内側にある深層的な価値観の違いを認め、そこから互いに学び合うプロセスを重視する。
そのため違いは「問題」ではなくコミュニティの「豊かさ」としてとらえることを目指す。
プルラリティの主要な特徴
コミュニティの中にある「違い」を資源とするために、プルラリティは以下を特徴とする。
対話と相互理解
異なる視点を単純に受け入れるのではなく、対話し、理解を深め、共感して学ぶ
批判的思考
自分の価値観も絶対視せず、常に疑い、再検討するゆるやかな姿勢をもつ
共感的アプローチ
相手の経験や文脈を理解しようと努め、判断ではなく、理解を重視する
以上の特徴を発揮するためには、安全な対話の場を創出すること、偏見や先入観への批判的な省察をすること、他者との共通の人間性を認識し、違いを「脅威」ではなく「学びの機会」としてとらえていく必要がある。
プルラリティは重要なのか
グローバル化の過程が完了し、グローバルな環境が日常となった。それによって親しみのない文化圏との接触機会も増加しています。
それだけでなく個人やローカルコミュニティの価値観も多様化し、社会そのものが複雑さを増しています。
それは複合的な社会課題が増えていることを指し、単一の「正解」が致命的な「不正解」となりかねない社会に変化したことを示しているのではないでしょうか。
そしてこれはデジタル技術によって、より拡大していきます。わたしたちは異なる視点や価値観を毎秒獲得し、毎日時代が変わるかのような体験に遭遇させられています。(ちょうどトランプ関税に圧倒されるように)
しかし、起きていることは起きてしまっており、わたしたちはこの世界で生きる必要があり、生き抜くために協力していく。そのための姿勢であり、コミュニティが生み出した知恵がプルラリティではないでしょうか。
プルラリティを発揮するうえでの課題
極端な相対主義に陥らないこと
さまざまな価値観から学ぶことによって何事も決めることはできないという考えになってしまうかもしれませんが、必要なのは決定し行動し検証することです。
基本的人権や倫理的最低限の基準の維持
プルラリティはわたしたちの社会をより良くしていくためのものです。そこには基本的人権と最低限の倫理が必要です。
対話の実践的な難しさ
対話はスキルであり、継続して学びながら身につけていくものであり、わたしたちは繰り返し対話の難しさを感じながら共感を発揮していく必要があります。
まとめ
多元性(プルラリティ Plurality)は、単なる「違いを認める」ことを超えて、互いに学び、成長し、より豊かな社会を共に創造するためのアプローチです。
Behind the insight
Plurality和訳 https://scrapbox.io/plurality-japanese/
デジタル時代に必要な社会思想:グレン・ワイルとオードリー・タンの新著『PLURALITY(プルラリティ):協働テクノロジーと民主主義の未来』を読む https://worksight.substack.com/p/118
私たちが “もっているものでうまくやる” には、少しずつ自分の世界を広げ、自分自身を理解し、思いがけない組み合わせを試してみる必要があります。これらは、そのプロセスの様子です。
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